長っ尻


高校の恩師の八木先生は、授業が終わったらすぐ学校を出る。

帰り道、立ち飲み屋で昼間からお酒を飲み始めて、でも飲むだけ飲んだら 明るいうちに さっと帰る。

みんなで忘年会をしても、自分のペースで飲むだけ飲んで、宴たけなわというところで「もう帰ります」と席を立たれるので、みんな呆気にとられて、寂しく思いながらもお見送りをして、八木先生抜きで呑み続ける。


潔さがとにかくカッコイイのだが、その立ち去り方だけは、那須君も真似できなかった。どちらかというと那須君はお尻が長い。最後までみんなと一緒に居たいタイプ。



摂南大学に就職し、ゼミ生と飲みにいく機会に、私が

「学生にお金を渡して、途中で帰ってくるんやで!」と送り出しても、

最後まで学生と話していたいのか、「あいつらだけでは、よう喋らんのや」とか言い訳しながら、毎回遅く帰ってきていた。


翌朝、私が「昨日、那須君1人で延々としゃべっていたんと違う?」と聞くと、「そんなことない。ワシは聞き役や」

「あいつら、焼肉屋に行って、ソーセージ注文しよるんや!信じられへん!」と、さも愉快そうに腹を立てていた。